ジョッキー武豊 に関するインタビュー情報をネットやSNSから独自に集めました。
プロフィール
武豊
Yutaka Take
1969年3月15日生まれ 京都府出身
競馬界の第一人者として活躍。本年にはJRA重賞300勝超の前人未到の記録をクリア。日本ダービー5勝も歴代最多。ディープインパクト他、多くの名馬と共に競馬の魅力を伝え続ける唯一無二のジョッキー。
独自に過去のインタビューを調査
ケイリングランプリに関してのインタビューにて
◆ケイリンと出会うキッカケは何だったのですか。
「もう20年位前かな、作家の伊集院静さんにびわこ競輪場に連れて行ってもらいました。伊集院さんはケイリンの大家ですから、色々なことをレクチャーしていただき、年に2、3回、息抜きにご一緒していました。その後、親しくなった記者さんが以前にケイリンを担当していて、地元・京都の村上佳弘選手を紹介してもらうことになります。それで合ったら意気投合、友人として深い付き合いになり、今まで以上にケイリンに触れる機会が増えました」
◆KERIINグランプリは何年くらい観ていますか。中でも印象に残っているグランプリを教えてください。
「いつ頃から観ているかな…2006年の吉岡稔真さんのラストランも観ましたね。10年位はずっと観ている感じかな。特に印象に残っているのは、やっぱり村上義弘選手が勝った2012年のグランプリです。今年と同じ京王閣競輪場、雨の中のレースで最後に差したときは感動しました。怪我があったりして、復帰するまでの過酷な練習とか、追い込んでやっていたことも知っていたので、あの瞬間はとても格好良かったですね。自分自身のように、嬉しかったことも覚えています」
◆村上義弘選手など、同じトップアスリートとして刺激を受けることがありますか。
「もちろん、刺激を受けることは多いです。公営競技のプロとして、分かり合える部分は多いし、自分に置き換えられることも多いです。競技に向き合う姿勢だったり、具体的なトレーニングのことだったり。特に村上義弘選手とは割と年も近いし、競技者としての立場も似ていますからね。自分以外のことでも、後輩にどうアドバイスしたらいいか、マスコミの方にどう接したらいいか、色々なことをお互い意見を交換し合ったりすることもあります。いつも真面目な話をしている訳ではないけど、飲んだり食べたりしながら、普通に話す中でポツリポツリと本音が出たり、競馬の世界の仲間とは違う話が無意識にできるので、本当にありがたい存在です。プロとしての勝負の機微を、分かり合える人間はそういませんから」
◆他の選手との交流も多いのですか。
「村上義弘、博幸兄弟をはじめ、近畿地区の選手は割と合うことも多いかな。この前は本当にプライベートで大垣競輪場にふらっと遊びに行って、馬主にもなっている元選手の山田裕仁さんや山口幸二さんとご飯を食べました。そこにレース後の選手も合流して楽しい時間を過ごさせてもらいました。若い選手は気持ちのいい子が多いですね。ケイリンという競技は先輩後輩の関係が厳しいというのもあるけど、人と人とのつながり、その信頼関係が大きいですから、尊敬できる先輩と可愛がられる後輩の絆がはっきり見て取れます。競馬とは少し違う世界で、そこにケイリンの魅力が潜んでいますね」
◆「武豊流」のケイリンの魅力や楽しみ方はどんな点ですか。
「予想はラインや展開を考えたり、あれこれ頭をめぐらせます。それはファンの皆さんと一緒ですよ。ただあまり本命を買うほうではないですね。それは新聞の印の本命が絶対ではないということを肌で感じているからかもしれません(笑)。競馬でも1番人気だからと言って、そう簡単には勝てないんですよ。すべてがうまく運んで初めて勝てる訳で、ついつい逆の発想で穴を狙ったりしています。ケイリンを観ていて改めて感じることもあります。それはレースでインターフェアがあり、買っていた選手が失格になると、すごくガッカリします。そのときに競馬ファンの気持ちが痛いほど分かるんです。自分に置き換え、フェアにレースをすることの重要さを再認識させられます。あと、車券を当てたファンの喜んでいる顔を見ていると、自分もレースで期待に応えられるように頑張ろうと思います」
◆一発勝負のKEIRINグランプリと競馬と共通する部分はありますか。
「KEIRINグランプリは1年間の集大成、選手たちはその目標に向けて逆算して戦っていますよね。それは競馬でいうとダービーを目指す感覚に近いと思います。ダービーはその馬にとって一生に一度の舞台。勝つのはその世代でたった一頭だけ。素質のある馬たちはデビュー前からダービーに出るため、シナリオを描いて、そのための調教を積み、レースに挑んで、夢の舞台に立つことを目標にしていきます。そんな馬たちと歩んでいくダービーへの過程は、わくわくするもので競馬に関わるものにとって私服の瞬間です。出るだけも大変なこと。そして勝つことは本当に夢のようなことです。だからレースは一発勝負ではあるけれど、そこまでの過程にそれぞれのドラマがあって、その部分をファンの方にも感じてもらいたいですね」
◆ジョッキーとしてプレッシャーがかかる場面など、どうクリアしてレースに臨んでいるのですか。またジョッキーとして最高の瞬間とはどんな時に訪れるのでしょうか。
「プレッシャーは特に感じたことがないんです。大きいレースになればなるほど楽しみで仕方がありません。楽しみの方が大きくて自分で緊張を感じることはないんです。“最高の瞬間”といえば、GIレースを勝った後のウイニングラン。あれはGIに勝ったジョッキーにだけ許されることなんです。何万人もの大観衆が待ち受けるスタンドに戻ってくるあの瞬間は本当に最高で、馬上での感覚は何度体感しても嬉しいものです。もちろんこれからもウイニングランの回数を増やしますよ」
◆今年のKEIRINグランプリは誰に注目していますか。
「やはり京都の村上義弘選手、稲垣裕之選手は応援したいですが、武田豊樹選手、平原康多選手選手の関東2人も強いですよね。その王者の王者たるレースも観たい気持ちもあります。誰がというよりは、いいレースが観たい、感動するレースが観たい。グランプリに出てくる選手ニアh、それぞれ物語があります。誰が勝ってもその人間ドラマを楽しみたいですね」
◆最後にケイリン、競馬ファンにメッセージをお願いします。
「僕自身は例年、有馬記念、東京大賞典という流れで仕事を締めくくることになります。だからある意味、KEIRINグランプリは1年の仕事を終え、本当にリラックスした状態で楽しめる時間なのかもしれません。ファンの方には、それこそボートレースの賞金王決定戦から、競馬の有馬記念、東京大賞典、そしてKEIRINグランプリと、年末はこのローテーションを楽しんで貰えたら嬉しいですね。もちろん競馬ではいいレースを見せたいと思います。そして一緒にKEIRINグランプリを楽しみましょう!」