「スカイスポーツ」の報道によれば、今夏のトランスファーウィンドウでプレミアリーグのクラブが費やした総額はオプションを含めて20億8000万ポンド。これは、昨年の24億6000万ポンド(デクラン・ライスやモイセス・カイセドが1億ポンド超えの取引となった年)を下回るものの、欧州2位のセリエAと比べると、約2倍以上の額が動きました。
最高額を記録したのは、トッテナムがボーンマスから獲得したドミニク・ソランケで、その移籍金は6500万ポンド。続くのは、マンチェスター・ユナイテッドがリールから連れてきたレニー・ヨロ、さらにペドロ・ネトやマヌエル・ウガルテ、アマドゥ・オナナも5000万ポンド以上の高額で移籍しています。また、ジョアン・フェリックス、デ・リフト、カラフィオーリら11選手が4000万ポンド以上の金額で取引されました。
デッドラインデーから1か月半が経過し、プレミアリーグ2024-25シーズンもすでに7節が終了しましたが、果たしてこれらの新戦力は、移籍金に見合うパフォーマンスを発揮しているのでしょうか。上位にランクインしている多くの選手が、やや微妙なスタートを切っている印象です。例えば、マンチェスター・ユナイテッドのレニー・ヨロは骨折で出遅れ、ウガルテも最近になってヴィラ戦でようやく先発に名を連ねました。
ビルドアップの向上が期待されていたデ・リフトは、ゴール前でのミスやデュエルで敗れる場面が目立ち、ヴィラ戦ではマグワイアにポジションを奪われました。昨シーズン、プレミアリーグに1年先行して参入したフラーフェンベルフも「スピードに慣れるのに時間がかかった」と話しており、デ・リフトに関しても今後の経験値が必要と言えるでしょう。
チェルシーでプレー経験のあるジョアン・フェリックスは、前線の層が厚く、5試合すべてが途中出場に留まっています。ウルヴス戦で6点目を挙げたものの、これが唯一の結果であり、チームへの貢献が十分とは言えません。一方、ペドロ・ネトは、得意な右サイドでのプレー機会が少なく、7試合でゴールなし、アシストは1と、こちらもやや不調のスタートとなっています。彼らには、マレスカ監督の戦術に適応するための時間がまだ必要でしょう。
ボーンマスがクラブ史上最高額の4000万ポンドで獲得したエヴァニウソンも、今季は8試合で1ゴール。昨シーズン、ポルトで42試合25ゴールと大爆発したストライカーですが、3節のチェルシー戦でPKを決めていれば、違った結果になっていたかもしれません。ソランケの後釜というプレッシャーが、決定機での余裕を失わせている可能性もあります。
ウルヴスからウェストハムへ移籍したマックス・キルマンは、チームの不調に巻き込まれた印象です。モイーズ監督からロペテギ監督への交代に適応する過程で、全試合にフルタイム出場しているものの、チームはクリーンシートなし。速攻に対応しきれていない場面が多く見受けられます。指揮官からの信頼が続けば、今後の改善も期待できるでしょう。
一方、好スタートを切っているのは、スパーズで公式戦8試合3ゴール2アシストを記録しているドミニク・ソランケ、ジョアン・ペドロ不在の穴を埋めるジョルジョニオ・ルター、アストン・ヴィラで既に2ゴールを挙げたアマドゥ・オナナといった選手たち。これらの選手は全員プレミアリーグでの経験があり、高額移籍金を支払ったクラブが彼らの強みをうまく活かしています。
新たに加入した選手の中で、唯一イングランドが初めてのリカルド・カラフィオーリは、アーセナルの偽サイドバックという役割が彼の能力に合っているように見えます。マンチェスター・シティ戦でのダイレクトシュートは、今シーズン初めてチームがリードされた場面を落ち着かせる重要なゴールとなりました。攻撃面での貢献度がさらに高まれば、ジンチェンコの出番は減少する可能性があります。
以上、移籍金ランキング上位11選手の最初の通信簿をお届けしました。彼らの新天地での挑戦はまだ始まったばかりです。リヴァプールのアンディ・ロバートソンも、入団初年度の11月までにプレミアリーグで2試合しか出場しなかったことを考えれば、今後巻き返してくる新戦力にも注目したいところです。
ロバートソンが800万ポンドで獲得されたことを踏まえ、今季の「お買い得選手」として注目されているのが、エヴァートンのエンディアイェやクリスタル・パレスでマーク・グエイの負担を軽減しつつあるラクロワ。そして、チェルシーで既に3アシストを記録しているジェイドン・サンチョも完全復活が期待されます。彼らの今後の活躍にもぜひ注目を!