プレミアリーグ2024-2025第8節、アンフィールドでチェルシーを迎えたリバプールは、カーティス・ジョーンズの決勝ゴールにより2-1で勝利しました。ビッグ6との対戦で、スロット監督は守備を重視した戦術を選択。前線のプレスは4枚が並び、4-2-3-1というよりも4-2-4の形が多く見られました。グラフェンベルフは、持ち前のドリブルを封じ、縦パスの遮断に徹していました。
ボール支配率42%の戦い方を示すのが、アーノルドとロバートソンのタックル成功回数(6回)とクロス本数(2本)です。2021-22シーズン、クロップのもとで4冠を狙った際には、アーノルドが273本のクロスでリーグトップ、ロバートソンは195本で2位でした。しかし、今季は新監督のもとで両選手とも35本で4位にとどまっています。
前線の4人と中盤の2人が連動するプレスでボール奪取を狙い、アーノルドとロバートソンの背後を守る戦術は、前線と中盤の運動量、そしてセンターバックの強さによって成立しています。今季、プレミアリーグで最少の3失点を誇るリバプールの堅守を示すスタッツを見ていきましょう。
まずは「xG conceded」、すなわち失点の可能性があるピンチの数です。リバプールは6.2で、8.7のアストン・ヴィラを上回りリーグ最少。1試合あたりの被シュート数は9.5で、マンチェスター・シティとトッテナムに次ぐ3位です。特に目立つのはセンターバックの強さで、コナテの空中戦勝率83.3%、ファン・ダイクのデュエル勝率71.3%(空中戦含む)はともにリーグトップです。
33歳のキャプテン、ファン・ダイクはインターセプト18回で、リサンドロ・マルティネスに1差の2位。さらに、グラフェンベルフはデュエル勝率63.3%、リカバリー48回でMF部門の3位、インターセプト12回は5位となっています。これらの数値が向上した背景には、フルバックの守備バランスが改善され、サイドのカバーを強いられる場面が減ったことが挙げられます。
一方で、改善が必要なのは4-2-4の布陣時に中盤のスペースを突かれる場面です。チェルシー戦では、マロ・グストが左サイドから上がり、サンチョへつなぐ形や、カイセドへの縦パスでピンチを招きました。アーセナル戦では、スペースを埋めやすい4-3-3のほうが安定感が増すかもしれません。
守備力が向上したリバプールですが、懸念されるのは中盤から後方の選手層です。中盤にはカーティス・ジョーンズ、遠藤航、エリオットが控え、最終ラインではブラッドリー、ツィミカス、クアンサー、ジョー・ゴメスが待機しています。アーセナルやマンチェスター・シティと比べると、質量ともに見劣りするのは否めません。プレミアリーグ制覇には、センターバックとアンカーがシーズンを通じて万全の状態を維持することが必要です。
リバプールの次節の数試合、アーセナル、ブライトン、アストン・ヴィラとの対戦は、スロット監督の戦術が試される難関です。ブカヨ・サカ、マルティネッリ、三笘薫、ヤンクバ・ミンテ、レオン・ベイリー、ジェイコブ・ラムジーといった危険なウインガーたちに対して、サラーやルイス・ディアス、そしてアーノルドとロバートソンがどのように対応するかに注目が集まります。